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2022.01.05

【医療接遇】クレームを未然に防ぐポイント3つ|クレームの本質と拡大防止も解説

  • クレームは未然に防ぎたい
  • クレームを未然に防ぐ方法があれば知りたい

時間に追われることの多い医療現場では、クレームを未然に防ぎたいと考える方は多いものです。

今回は、クレームを未然に防ぐために大切なこと3つを紹介した後に、クレームが起こってしまった場合の拡大を防ぐためのポイントもお伝えします。まずは、人がクレームをいう心理から解説しましょう。

【事前期待】人はなぜクレームをいうのでしょうか?

人はなぜクレームをいうのでしょうか。

クリニックに限りませんが、サービスの提供を受ける側は「事前期待」をしています。事前期待とは、人がサービスや商品を利用する前に抱えている期待のことをいいます。

事前期待は人によってさまざまために、同じように丁寧な対応をしていたとしても全ての方を満足させることはできません。しかし、医療現場における事前期待については、主に以下の4つで構成されています。

  • 多くの患者様が抱えている事前期待
  • 患者様によって異なる事前期待
  • 環境要因や状況によって変わりゆく事前期待
  • 過去の経験による事前期待

詳しく解説しましょう。

多くの患者様が抱えている事前期待

1つ目は、多くの患者様が抱えている事前期待です。

例えばですが「スムーズな対応をしてもらいたい」「丁寧な診察を受けたい」というのは多くの患者様が共通して抱えている気持ちです。これが、多くの患者様が抱えている事前期待となります。。

こうした事前期待に応えるために、多くのクリニックがマニュアル改善やシステム導入を取り入れています。

​しかし、このような努力は多くの患者様にとって「取り入れられていて当然」のこととして捉えられている場合がほとんどです。当然のことを提供されていると感じている患者様にとって、これだけでは満足を得ることは難しいのが現状です。

​そこで、ポイントとなるのが以下で解説する3つの事前期待となります。ひとつずつ順に解説いたします。

患者様によって異なる事前期待

2つ目は、患者様によって異なる事前期待です。

患者様によって「クリニック選びの決め手」や「クリニックに求める信頼」はさまざまです。患者様によって異なる事前期待は、一例として以下のような事柄があげられます。

  • 待ち時間の短さを期待している
  • 丁寧な診療を期待している
  • 院内の居心地のよさ(対応のよさ)を期待している

個々人によって異なる事前期待に働きかけるためは、スタッフ同士での情報共有も大切になってきます。また、スタッフ内で目標やマニュアルを確認する習慣などをつけることでみんなの意識が高まり、働きやすさにも繋がります。

環境要因や状況によって変わりゆく事前期待

3つ目は、環境によって変わりゆく事前期待です。

患者様はいつも同じ心境ではありません。天気や体調、その日の気分といった環境によって事前期待も普段と異なってしまう場合があります。

患者様の顔色や言葉遣いといった小さな変化に敏感になることで「困ったことはありますか?」や「別室で横になられますか?」などと一声かけようと行動の変化に繋がります。そうした心配りによって、変わりゆく事前期待に対応することができるでしょう。

過去の経験による事前期待

4つ目は、​過去の経験による事前期待です。

クリニックで働くスタッフの方々も日常生活の中で「ふとした優しさに感動した経験」や「なんとなくしたことで喜んでもらえた経験」があるのではないでしょうか。

自分がしてもらって嬉しかった経験やしてあげて喜ばれた経験を、業務の中でも用いることが事前期待に繋がるケースがあります。

例えば、自分が妊娠中に「クッションは必要ですか」と声をかけて貰い感動した経験を業務の中でも取り入れることによって、患者様の事前期待を満たすことができます。

さまざまな視点をスタッフ間で話し合うことで、より多くの事前期待に応えていけるようになることでしょう。

以上4つの事前期待をお伝えしました。

クレームとは、患者様が持つ事前期待が満たされなかった場合に怒りや不満としてなってしまうことをいいます。逆をいえば患者様の事前期待を満たすことが、クレーム予防として大いに役立つこととなります。

【医療接遇】クレームを未然に防ぐために大切なこと3つ

ここからは、医療現場でのクレームを未然に防ぐためにたいせつなポイント3つを紹介します。

  • 医療接遇の基本の徹底
  • 報告・連絡・相談
  • 患者様との日頃からのコミュニケーション

詳しく解説しましょう。

クレームを未然に防ぐために①:医療接遇の基本の徹底

医療現場でのクレームを未然に防ぐためには、医療接遇の基本を徹底することが予防に繋がります。

医療接遇の基本は、患者様の不安やざわついた気持ちを静める効果を持ち合わせています。

身だしなみや言葉遣い、挨拶・表情・心配り・スキルといった基本を徹底することで、クリニックに足を運ばれた方々が抱える不安や診察前の緊張感を緩和することへと繋がります。また、患者様だけでなく付き添いのご家族の方や支援者の方々への理解や説明の仕方などに対しても最善の配慮を配ることとにも繋がります。

患者様も(ご家族様も)心地よくクリニックで過ごして貰うことが、結果として医療接遇の基本を徹底することがクレーム予防に繋がります。

また、医療接遇を用いることでスタッフの方々も意識高く仕事を出来るようになります。

医療接遇について、より詳しく知りたい方は【医療接遇とは】接遇と接客マナーの違いを知り、院内の雰囲気を向上しようもあわせてご覧ください。

クレームを未然に防ぐために②: 報告・連絡・相談

医療現場でのクレームを未然に防ぐためには、スタッフ間での「報告・連絡・相談」も大切なポイントとなります。

患者様のいつもと違う様子や待合室の混雑具合などを常に気にかけつつ、早めにスタッフ間で報告・連絡・相談をし、工夫や準備などの対策をとるようにしましょう。

忙しくなってしまうと気付かぬうちに対応がいつもより粗末になってしまうこともあり、そのことがクレームに繋がってしまうこともあります。クレームが出てしまった後に、あれこれ理由を述べても既に不満が募ってしまった患者様にとっては「いいわけ」として捉えらてしまいます。

クレームが発生する以前に予想をたて、スタッフ間でも「報告・連絡・相談」を心がけ、患者様に対して配慮を欠かさないようにしましょう。

クレームを未然に防ぐために③:患者様との日頃からのコミュニケーション

医療現場でのクレームを未然に防ぐためには、 患者様との日頃からのコミュニケーションもポイントとなります。

日頃から、患者様と会話しやすい関係を築いておくことで「困ったこと」や「不安なこと」をなんでも打ち明けてもらうことができます。なんでも話して貰うことで、大きな問題となる前に手を打つことに繋がります。

日頃のコミュニケーションによって、クレームになる前にお客様の不安を解消できるのであれば、これほどありがたいことはありません。

ぜひ、日頃から医療接遇の視点をもった円滑なコミュニケーションができる関係を大切にしましょう。

【医療接遇にて】クレームが起こってしまった場合|拡大防止策について

クレームが起こってしまった場合の拡大防止策についてお伝えしましょう。

以下は、実際にクレームが起こってしまった場合の基本の流れとなります。

  • 謝罪・共感
  • 傾聴
  • 確認
  • 説明
  • 再びの謝罪・感謝

この丁寧な、手順がクレーム拡大防止にも繋がることとなります。
詳しく解説しましょう。

クレーム対応①:共感・謝罪

クレームが起こってしまった場合には、一番最初に「謝罪・共感」をしましょう。

クレームは最初に応対した方の印象で、その後の解決へむけての方向性が決まってしまうといっても過言ではありません。

そのため最初にクレーム対応をするスタッフは、どのような患者様に対しても先入観を取り払い統一した「 謝罪・共感 」の対応をしましょう。

「謝罪・共感」については以下を参考にしてください。

◆謝罪と共感について

謝罪患者様の「不信・不満」を取り払うために謝罪する
【言葉の例】
・大変申し訳ありませんでした
・本当に申し訳ございませんでした
共感患者様の立場にったって共感する
【言葉の例】
・それは、お困りですね
・大変、お辛い思いをさせてしまいました

スタッフの丁寧な「 謝罪・共感 」によって、その後のクレーム発展を抑えることにも繋がります。

   

クレーム対応②:傾聴

「謝罪・共感」を十分に丁寧に行えたと感じたら、次に患者様の話を親身になり「傾聴」をします。

途中で口を挟んだり反論したりせず、 患者様が納得のいくまで傾聴することが大切です。

患者様がどのような気持ちで不満や不信感をクレームに至ったのかに、しっかりと耳を傾けましょう。相手の心の声までにも耳を傾けるつもりで傾聴しましょう。丁寧な傾聴によって「相手の心の窓」を通して、クリニックの問題と課題をが見えてくる場合もあります。

傾聴のポイントは以下をご覧ください。

◆傾聴のポイント

傾聴の姿勢・仕事の手を止め、相手に合わせた表情でしっかりと向き合う
・ときに、別室に場所を移して対応する
(場所が変わることで患者様の気持ちが変わることもある)
傾聴としての受容あいずちや頷きを取り入れて患者様の気持ちを受容する
   
【言葉の例~傾聴の間〜】
・そうだったのでね
・お辛かったのですね
   
【言葉の例~傾聴が終わったら〜】
(明らかにクリニックに非がある場合)
・大変申し訳ございません
・ご不快な思いをさせてしまい本当に申し訳ございませんでした
   
(病院側に非が感じられない場合)
・こちらの説明不足によりご不快な思いをさせてしまい申し訳ございませんでした
・当院の配慮が足りなかったために、本当に申し訳ございませんでした

ときに「傾聴」がしっかりとできているだけで、クレームが治まることもあります。

クレーム対応③:確認

「傾聴」がしっかりでき、状況や患者様の心情を把握できたら「確認」に進みましょう。

「確認」をするためには、注意すべきポイントがあります。

唐突に「~ということですね」と傾聴した内容をまとめに入るのではなく「再度、状況を確認させていただいてもよろしいでしょうか?」と患者様の許可を得てから確認するようにします。

患者様の会話の負担を軽減するためにも、なるべく患者様が「はい」か「いいえ」で応えることができる形で質問を投げかけましょう。

◆確認のための質問例

  • 1時間以上お待ちになって、ご予定が狂ったということでよろしいでしょうか
  • 本日の10時ごろに来院したときに、診察券を当院に忘れられたということでよろしいでしょうか

更に具体的に内容を確認するためには、 5W1H を活用しましょう。5W1Hとは「いつ・どこで・だれが・なにを・どのように・どうやって」のこと。これらを活用することで、具体性を持った確認が取れるようになります。

クレーム対応④:説明

相手の状況や心情を把握できたと感じたら、今後の具体的な対応について「説明」が必要となります。

説明をする際には、以下を参考にしてください。

具体的な時間や方法を取り入れる
    
(謝罪後)現状であれば他のお客様の対応もあります。おそらく30分後には診察対応可能となりますがいかがでしょうか?
   
患者様に選んでもらうようにする
   
せっかくご来院いただきましたために、大変恐縮ではございますが後30分お待ちいただくか、今週ですと明後日水曜日の朝一番の予約も空いております。いかがいたしましょうか。
   
前向きな表現を使う
   
✕:それは無理です→〇:明日でしたら対応可能となりますが、いかがいたしましょうか
✕:こちらにはありません→〇:診察券が見つかり次第ご連絡させていただくか、再発行することも可能でございます
   

患者様の言葉遣いや表情から、状況を理解しながら説明することがポイントです。不安・不信の気持ちを取り払いたいということが伝わる対応を心がけましょう。

クレーム対応⑤: 再びの謝罪・感謝

最後にもう一度、心からの謝罪と患者様からの申し出に対し感謝を伝えるようにしましょう。

患者様のクレームに対応する方は、戸惑いを感じてしまうことでしょう。しかし、患者様のクレームによってスタッフだけでは気付くことができなかったクリニックの課題が明確になります。

多くの患者様はクレームを言葉にはしてくれません。不満や不信が積もってはいるにもかかわらず、何も声をあげずに足を運んでもらえなく場合もあります。クレームは率直な意見を伝えてくれる大切な患者様です。

◆最後の謝罪・感謝のポイント

・声をあげて良かったと思って貰うことが大切

【言葉の例】

・貴重なご意見をありがとうございました

・二度と同じようお気持ちにならないように、今後十分に留意したいと思います

・丁寧なご指摘に、本当に感謝しております

まとめ:クレームを未然に防ぐために

今回は、クレームを未然に防ぐために大切なことを紹介し、以下の3つをお伝えいたしました。

  • 医療接遇の基本の徹底
  • 報告・連絡・相談
  • 患者様との日頃からのコミュニケーション

クレームはいわれた方には精神的に大きな負担がかかります。しかし、クレームを言う側も大きな負担がかかっています。次回から、病院へ足を運びにくくなるかもしれないリスクを背負って意見を口にしてくださっています。

そのためにも、まずはクレームになる前に患者様の不安や不信を取り払うための「医療接遇」の心を大切にしていただきたいと感じております。

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