2021.12.21
【医療接遇の身だしなみ】医療スタッフに求められる第一印象
- 医療現場での身だしなみに悩んでいる
- 医療従事者としての些細なオシャレと身だしなみ境界線が分からない
このような悩みを抱えていませんか?
「身だしなみ」とは、社会人としてふさわしい見た目のことですが、職業によって「ふさわしさの定義」は異なります。
今回は、医療接遇における身だしなみについて詳しく解説します。身だしなみの3原則や医療接遇の視点で取り入れたいポイント、身だしなみとおしゃれの違いについても紹介します。
「身だしなみの3原則」|医療スタッフに求められる身だしなみ
まず最初に「身だしなみの3原則」について解説します。
「身だしなみ3原則」を知っておくことで、社会人としてふさわしい身だしなみを身に付ける土台を整えることができるようになります。
◇ 身だしなみの3原則
- 清潔感
- 機能性
- 調和
概要は、以下をご覧ください。
清潔感 | ・清潔感が保たれているか 【医療接遇:例】衣服にシワやシミ・汚れがないか など |
機能性 | ・職場や業務内容に見合ったスタイルかどうか 【医療接遇:例】 機能性に優れ、職場で最適な作業をしやすいか など |
調和 | ・職場のイメージと調和がとれているかどうか 【医療接遇:例】 医療従事者としての本質から離れていないか など |
「身だしなみの3原則」は医療現場に限らずさまざまな職場で活用されています。それぞれの職場に見合った身なりを、身だしなみの3原則を元に考えて取り入れる必要があります。
詳しく解説しましょう。
身だしなみ①:清潔感
身だしなみのポイント、1つ目は「清潔感」です。
医療接遇に限りませんが、清潔感はどこの職場でも大切とされています。
また「清潔にしている・清潔を心がけている」と「清潔に見える」は別のものです。清潔感とは後者の「清潔にみえる」といった第三者の視点を指すこととなります。
髪の毛や髭・服装のシワや汚れ・身体の衛生面や匂いなどが、身だしなみにおける清潔感を現すものとなります。
清潔感を意識することで、心身共に引き締まり職場での立ち振る舞いにおいてもよい影響を及ぼすこととなるでしょう。
身だしなみ②:機能性
身だしなみのポイント、2つ目は「機能性」です。
どんなに清潔感を意識して身だしなみを整えた場合にも、動きづらさがあると働く上での違和感へと繋がります。
患者様をケアする側の医療従事者が違和感を感じながら作業していると、相手に不快感を与えてしまう可能性も高まります。
医療接遇における身だしなみでは特に、機能性を考慮する必要性も求められます。
身だしなみ③:調和
なみのポイント、2つ目は「調和」です。
身だしなみは、TPOに合せた身なりをすることが大切とされています。
TPOとは、以下の3つの頭文字をとったもののこと。
- Time(時間)
- Place(場所)
- Opportunity(場合)
元々は「時間・場所・場合に適した身なり」を現す用語としてアパレルブランドから登場した言葉ですが、近年は、態度やマナーなど幅広い場所で使われるようになりました。
TPOに合わせた身なりをすることで、身だしなみの調和が整うとされています。
身だしなみ3原則|医療接遇、さらに取り入れたい2つのポイント
医療接遇の視点では、上述した「身だしなみ3原則」に加えて、さらに2つの事柄を取り入れて頂きたいと思います。
- 安全性
- 衛生面
詳しく解説しましょう。
医療接遇の身だしなみ①:安全性
医療接遇における身だしなみの追加点、1つ目は「安全性」です。
クリニックに来院される患者様は、体のどこかに疾患や痛みといった問題を抱えて足を運ばれています。
患者様の安全面を考慮し、医療機関では危険要因となるようなアクセサリーやネイルを禁止とするクリニックが多いものです。患者様と接する場合に、肌や患部を傷つけないよう配慮する視点をもつことが「安全性」を考える上でのポイントとなります。
また、香りにも注意しましょう。キツイ香りは患者様の体調を悪化させる可能性もあるため、香水などはつけないことが基本です。また、香りのきついメイク用品やヘアケア用品や柔軟剤・制汗スプレーなどにも注意しましょう。
医療接遇の身だしなみ②:衛生面
医療接遇における身だしなみの追加点、2つ目は「衛生面」です。
患者様の多くは、体の不調をかかえているために免疫力が低下しています。待合室などではウイルスや菌が二次感染しないよう、空気清浄機を設置して換気を定期的に行い予防が徹底されています。
昨今はコロナ禍もあり、クリニック側も患者様も今まで以上に感染に敏感になっています。
そのような中で、患者様と接する医療従事者が感染を招くようなことは避けたいですよね。
そのような視点から、長い髪はひとつにまとめたり爪を短く切ったりと、衛生的な身だしなみを整えることは基本となります。
疾患や痛みを抱えてクリニックに来院される患者様に対する配慮として「身だしなみに、不衛生な面はないか」「自分の身なりに危険はないか」 などといった衛生面も、意識して取り入れましょう。
医療接遇における身だしなみ「チェックポイント」
医療接遇における身だしなみのチェックポイントをまとめましたので、ご活用ください。
頭髪 | 【男性】 ・短く衛生的な髪形を心がける ・前髪は目にかからないようにする ・髪色は、トーンを抑える ・髭も手入れする 【女性】 ・長い場合はひとつに纏める ・前髪は目にかからないようにする ・髪色は、トーンを抑える ・ヘアアクセサリーは控える ・ヘアコロンなどは控える |
爪 | ・短く整える ・ネイルはしない |
ユニフォーム 服 | ・シミやシワや汚れがないか注意する ・下着が透けていないか注意する ・ズボンやスカートの裾のほつれがないか注意する ・カーディガンなどの羽織物は派手過ぎないカラーを着用 (黒・紺・グレーなど) |
靴 | ・清潔であることを心がける |
アクセサリー | ・基本として着用しない ・結婚指輪については病院の規定に従う ・カラーコンタクトはしない |
メイク | ・化粧はナチュラルを心がける ・香水は使用しない |
上記と自身の身なりを照らし合わせて確認してみましょう。
また、クリニックごとに規定もあると思いますので、不明な点は必ず確認を取るようにしましょう。
身だしなみとおしゃれの違いを理解しましょう
「身だしなみ」と「おしゃれ」の違いについても、確認しましょう。
以下をご確認ください。
- 身だしなみ…他人のため
- おしゃれ…自分のため
身だしなみを整える目的は、他人に不快感を与えないこと。一方で、おしゃれの目的は自分を楽しませることとされています。
人は見た目では判断できませんが、第一印象では人の中身までを知ることはできません。そのため、第一印象を大きく左右するのは「見た目(視覚情報)」がとても重要になってきます。
患者様は、身体の不調から多くの不安を抱えて来院されます。そのため、医療従事者は不安を取り除く働きかけも求められています。
「話しかけやすい印象はあるかどうか」を意識し、身だしなみにも心配りをしましょう。
医療現場は「おしゃれを追求する場所ではない」とわきまえ、身なりを整えることが医療接遇における身だしなみのポイントとなります。
近年の医療現場の衣服について
近年は、医療衣服にも「患者様への配慮・心配り」が取り入れられるようになりました。
医療現場では衛生環境を最適に保つため、白色の白衣が長らく採用されてきました。これは、汚れたらすぐに洗濯し衛生面を保ちやすいとされているためです。
しかし、近年は手術着も紺色・深緑などの濃い目の色が取り入れられ、看護師の白衣も柔らかな色味を帯びたものが取り入れています。
その理由は、白にこだわらなくても衛生管理が可能な時代となったことや、白色に汚れがつくと目立ちすぎてしまい患者様に過剰に不快に思わせてしまうケースがあるためです。
白衣は、ときに冷たすぎる印象を与えることもあります。近年は真っ白を避けた2色の配色の白衣や、柔らかな印象を与える医療衣服のカラー展開が取り入れられるようになりました。
患者様ファーストの医療接遇が、さまざまな視点から取り入れられるようになってきたとされています。
まとめ:【医療接遇の身だしなみ】医療スタッフに求められる第一印象
今回は、医療接遇における身だしなみについて解説いたしました。
特に覚えていただきたいのは「身だしなみの3原則」となります。
- 清潔感
- 機能性
- 調和
それに加えて重要になるのは「安全性」と「衛生面」です。
医療の現場で求められている「患者様視点の身だしなみ」を考慮し、身だしなみを整えましょう。
スタッフ同士で「身だしなみ」を評価してみると俯瞰的な意見を取り入れて工夫することもできます。