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2022.02.09

コロナ禍の接遇「マスクの下も朗らかに」を心掛けましょう

新型コロナウイルスの流行により、マスクを着用する生活がスタンダードとなりました。また、これまで多くのストレスと戦いながら気持ちが沈みがちな方も多いのではないでしょうか。

接遇の視点で考えると、長引くコロナ禍によって気持ちが沈みがちだからこそ、少しでも明るい表情で対応したいものです。しかしマスク着用をしていると、目元の表情しか見えず気持ちが相手に伝わり辛くなってしまいます。

今回は、コロナ禍におけるマスク着用時の接遇について詳しくお伝えします。

コロナ禍の接遇

「コロナ禍における新しい生活様式」という言葉をよく聞くようになり、今やマスクをつけることがエチケットのひとつともいえます。

感染予防の視点ではマスクは必須です。ただ、医療接遇の視点で考えると患者様にとっては「表情が分かり辛い」「声を聞き取りにくい」と、感じさせてしまうこともあるかもしれません。

また、医療従事者にとっても、患者様の表情の変化に気付きにくかったり何度も同じことを伺ってしまったりと、無意識に病院へ訪れた方々へストレスを与えてしまっている可能性もあります。

接遇では表情も大切な要素のひとつですが、マスクを着用していては表情で思いやりを伝え辛いために悩んでしまう方も多いのではないでしょうか。

次からは「マスク着用時の接遇における課題」を考えていきましょう。

マスク着用しての接遇の課題

マスクを着用しての接遇における課題を、以下の2点に的を絞り深く掘り下げてお伝えしましょう。

  • 「お互いの声の聞き取りづらさ」について
  • 「お互いの表情の読み取りづらさ」について

「お互いの声が聞き取りづらさ」から想定される課題

マスクを着用しているとどうしても、声がこもってしまいます。声がこもることで互いの声が伝わり辛く、必要以上のエネルギーを使わせてしまうことにもなりかねません。病院に足を運ばれる方は身体のどこかに不調を抱えていらっしゃることを忘れずに配慮したいものです。

また、高齢の患者様で聴力が低下している方とコミュニケーションをとる場合には、特に注意が必要です。高齢の方々は、聞き取れないことが続くと聞き返すことを諦めてしまうケースもあります。それが、ときに「聞き間違い」として認識のズレが生じた状態に繋がることもあります。

医療現場での聞き間違いは、後に不信感やクレームへと繋がったり本来の症状とは異なる診察に繋がったりする可能性も考えられるため、注意を払いたいところです。

「お互いの表情が読み取り辛さ」から想定される課題

接遇におけるマスク着用では「お互いの表情の読み取り辛さ」が課題にもなります。マスクを着用していると顔の多くが覆われているために、目だけで表情を伝えることとなります。

日頃より、接遇では表情もとても大切であるとお伝えしています。

「口角を上げて話すこと」で、穏やかな表情を作り出すことができ思いやりを伝える大きな要因のひとつとなります。ただ、マスクをしていると顔全体の柔らかな表情を伝えることができません。それによって、患者様に表情で気持ちを伝え辛くなってしまうこととなります。

また、患者様の些細な表情の変化を読み取ることも難しくなり、体調の変容に気付くことがが遅れてしまう可能性もありますので気を付けたいところです。

次では、上述した2点の問題を対処するための方法についてお伝えします。

マスクの下も朗らかに|マスク着用しての医療接遇における大切なこと3つ

マスクを着用しての医療接遇における大切なことは、主に以下の3つとなります。

  • 伝え方
  • 表情
  • 傾聴の姿勢

上記3つを「マスクの下も朗らかに」という視点でお伝えします。

マスクをしての医療接遇で大切なこと|伝え方

マスクをしての医療接遇では、伝え方を意識しましょう。

上述もしましたが、 マスクを着用している声がこもりがちです。こちらの声が伝わり辛かったり、また相手の声が届きにくいことでよりエネルギーを使わせてしまうこともあるでしょう。

患者様はこちらのいうことを一生懸命に聞こうとはしてくれていますが、高齢で耳の遠い方などは諦めてしまうこともあるかもしれません。

マスク着用時は、いつもよりゆっくりとはっきり伝えるように心掛けましょう。特に耳が遠い方に向けては、低めの声でゆっくりと話すことで伝わりやすくなるとされています。また、何度も聞き返されたりする場合には、筆談を取り入れたりするのも有効です。

そして最後には、失礼がないようにお辞儀をしたり大きく頷いたりと、ジェスチャーも取り入れて感謝の気持ちが伝わるよう 心掛け ましょう。

マスクをしての医療接遇で大切なこと|表情

マスクをしての医療接遇では、表情は特に大切となります。

会話は言語的コミュニケーションだけではありません。非言語的コミュニケーションとして用いられる頷きや姿勢、態度や距離感、そして表情などもひとつひとつを丁寧に行うことで、患者様へ向けて安心感や穏やかな雰囲気をもたらすことができます。

マスク着用時は、声でのコミュニケーションがいつもより難しくなるために、目元の表情が大きなポイントとなります。

コロナ禍前よりも一層の、患者様の気持ちに配慮した表情でのコミュニケーションを心掛けましょう。

マスクの下も朗らかに

少し余談ですが、マスクを着用しているときの表情は目だけを意識すればいいわけではありません。

マスクの下に隠れている口元も意識した、自然な笑顔を作りましょう。自然な笑顔とは、口の両端が上がることで頬も上がり、それと連動して目もにこやかになることです。

接遇に関わらず、作り笑顔ではない本当の笑顔を日頃から意識したいものです。意識していれば習慣化しますし、日本には「笑う門には福来る」ということわざもあります。

また、顔の筋肉というのは自然と衰えて下がっていくために、自分自身の為にも、メイクアップの時間などを用いて鏡を見ながら笑顔の練習を取り入れる習慣もいいでしょう。笑顔が自然にできるようになると、顔全体の筋肉が柔軟になり、素敵な自分となるきっかけにも繋がります。

また、笑顔になることで相手だけでなく自分自身の心も穏やかになるという効果もあります。

マスクをしての医療接遇で大切なこと|傾聴の姿勢

マスクをしての医療接遇では、傾聴の姿勢も普段よりも一層大切にしましょう。

マスク着用によって言葉もこもりがちとなり表情も伝え辛いとなれば、思いやりを伝えるハードルはとても高くなります。

だからこそ、いつも以上の傾聴の姿勢が大切となります。傾聴とは、話を聴いて頷くだけではありません。話しかけやすい雰囲気づくりや身だしなみも大切となります。

そのためには「いつでも話しかけてください」と伝わるような以下のポイントを意識してください。

  • しっかりと相手の目を見て話す
  • 目元が良く見えるようにヘアスタイルも整える(目元に前髪がかからないように)
  • 頷きの仕草を丁寧に  など

これらを意識することで、「あなたの話を聴いています」という患者様への意思表示となります。また「自分の話を聞いてもらえるかもしれない」と、患者様が一歩を踏み出すきっかけにも繋がります。

【関連記事】接遇における身だしなみについては、以下記事もあわせてご覧くださいませ。

【医療接遇の身だしなみ】医療スタッフに求められる第一印象

まとめ:コロナ禍の接遇「マスクの下も朗らかに」を心掛けましょう

今回は、コロナ禍のマスクをつけての接遇についてお伝えしました。

マスク着用の有無に関わらず、他者への思いやりや配慮といった姿勢は大切にしたいものです。ただ、コロナ禍だからこその表現の工夫も、とても大切なポイントとなります。

接遇においては、今回お伝えした以下の3つのポイントを意識しつつ取り入れてみましょう。

  • 伝え方
  • 表情
  • 傾聴の姿勢

最後に、マスクを外す日が待ち遠しい昨今。
一日も早いコロナ禍の終息を願っております。