京都市右京区の「照隅認定こども園」様は、社会福祉法人道心の経営する保育園です。
社会福祉法人道心は、江戸時代の寺子屋から始まり、「一隅を照らす人材を育てる」ことを理念にこども園を運営されています。キャリアラボにて今回7年目となる接遇マナー研修を実施させていただきました。この接遇研修について、僧侶でもいらっしゃる理事長永井快俊先生にインタビューをさせていただきました。
スタッフが小松先生の研修内容を日々「意識」していることがよく分かります
小松:
キャリアラボの接遇研修後のご感想はいかがでしょうか?
理事長永井快俊先生:
キャリアラボの接遇研修後は、職員それぞれが研修内容を意識できているなと感じます。迷いながらでもいい、まずは「知り」「意識すること」が大事です。リーダーである私も、自ら参加し、日々フィードバックをしています。研修後に、できている保育士には「先生きれいね、感じ良いね」と言うように心がけています。逆に、改善が必要な保育士には「違う感じですね」と言います。
研修は繰り返しが必要。
お経と同じで、むしろ繰り返すことで血と肉となります。
小松:
今回で7年目となります。7回目受講する先生方もいらっしゃいますがいかがでしょうか。
理事長永井快俊先生:
お経と同じです。毎年毎年繰り返してもらうことで、はじめて体に沁み込みます。般若心経を一日100回唱えるのと同じ。口と腹筋、体が覚えないといけません。お寺の修業も繰り返しです。さらに、それを徹底してやることの意味があります。何度も繰り返して行うことは、血となり肉となっています。保育士の先生、それ以外の方も含めて園に関わる全員が小松先生の研修を必要としています。
小松先生の研修は、仏の教えを勉強する道と同じです
接遇研修では、講義していただいた日からその内容を、毎日完璧に実践できるわけではありません。目の前の業務にも追われます。例えば、小松先生に研修内容を壁(心)いっぱいに白く塗って心も体も綺麗にしていただいたけれども、時間が経つにつれ心も体も汚れて少しずつ灰色になっていく、でも研修内容が少しでも残っていれば真っ黒にはならない。だからこそ、小松先生の声を毎年1回繰り返しこの時期に全員が聞かせていただくことによって、元の白壁に戻っていく、と。
これは、まさに仏の教えを勉強することと同じです。一歩づつ、目標に向かって歩いていくことが悟りなのですよね。大乗仏教そのものが、お釈迦様と同じになろう、という考えではないのです。お釈迦様と同じようにはなれないから、一歩手前の菩薩の段階まで人々を教化しましょう、というのが大乗仏教です。それでも難しいので、仏さんの真似をして生きようという考え方が生まれたのが「密教」です。言い換えると仏として生きる教えが密教なのです。一方で仏になるための教えは「顕教」と言われます。
小松先生の接遇研修は仏教の修業と同じ「守破離」
とにかく、修行は同じことを繰り返し、繰り返しですね。お坊さんが修行が終わった後もそうです。現実に引き戻され汚れますから、また比叡山の修行場にこもって再度集中的に復習させられます。これをすると、自分が修行していた時と違うことをしていたことに気づかされます。だから元の状態に戻すのです。最初に基本を教えていただいて、その後「我流」が出てきます。そのうち基本と我流をあわせて、自分の形になっていきます。基本へ戻ることがとても大事なのです。これはまさに「守破離*」なのです。そして、小松先生の研修はその「守破離」のスタートです。
*修業のプロセスを「守」「破」「離」の3段階で表している。まずは師匠から教わった型を徹底的に「守る」から始まる。自分型を試すことで既存の型を「破る」。さらに鍛錬・修業を重ね、師匠の型と自分自身で見出した型の双方に精通し、言わば型から「離れ」て自在となることができる。
マナーという形から入り中身を整える、これが人間として大事です
小松:
過分なお言葉ありがとうございます、接遇マナー研修との共通点を感じます。
理事長永井快俊先生:
基本がなければ、何を積んでもダメだと思います。現代人は、子どもたちだけではなく、大人も含めて人間としての土台が弱くなっています。「立腰」とも言いますが、仏教では坐禅をして姿勢をただすところから始めます。まず姿勢を正せ、と。姿勢の形がつぶれていると、人間としての意志力・継続力を育てることはできません。坐禅が一番大切にしていているは、全ての原点になる、姿勢を正すことです。
また挨拶も大切です。相手の目を見てしっかり挨拶をする。さらに大きな声で「はい」と答えることも。それから、はきものをそろえて立つ、ということ、これは小松先生がいつもおっしゃいていることですね。子どもばかりか、大人もできていない場合があります。ちょっとしたことですが、見えない何かが働くのです。マナーという形から入って、中身を整えていく、ということですね。
人間の根源「心を育てる」という方針と共鳴するキャリアラボの研修。
だからこそ毎年選んでいます。
小松:
保育園の方針とキャリアラボ接遇研修はどのように影響していますか?
理事長永井快俊先生:
キャリアラボの研修、小松先生の講義は、「心を育てる」という我々の園の方針に通ずるものがあります。小松先生に最初感銘を受けたのは、7年前の初めての接遇研修で、まず最初に座り方、そして相手の目を見ることの重要性から始まりました。研修をさらに進めるほどにその内容すべてが「仏教の修業場でいう事と同じことをおっしゃっている」と思ったのです。マナー講師にも様々なスタイルがあると思いますが、小松先生のスタイルに、その仏教の精神を一番感じたのです。
坐禅教育・仏教教育、心を育てることを今後、保育園でもしっかり育てていこうと考えています。これは、園児に言う前に、保育士の先生や職員たちが、まずきっちりできている必要がありますから、教えていかなければいけません。心を育てるという人間の根源を育てることを当園がやっていかないといけないと思っています。小松先生の接遇は、形の実践を通じて、中身を育てる話をされています。だからこそ、7年目となる今年も、小松先生にお願いしています。
接遇が身につくことでその精神は細部に宿り始めます。
小松:
お言葉大変有り難く、講師冥利に尽きます。私も接遇研修をはじめ、すべての研修において、「基本の型を整えること」が根底にあって、はじめて「内面が整う」と考えております。
理事長永井快俊先生:
そうです。お坊さんでも若い坊主が作務、つまり掃除をします。「なぜこんなことしなくてはいけないのか」と思うお坊さんも、掃除をし続けると1年もするとお坊さんらしくなります。繰り返して自分のものになっていきます。
小松先生が研修会場の園へおいで頂き、ほめてくださることの一つに、さりげなくそっと飾っている一輪挿しがあります。実は家内が飾ってくれています。一輪の花が人をお迎えする。形から入っても、実践し続けることで、ふとした小さなところに心配りができるようになります。小松先生の教えがそこに生きていると感じます。
小松先生の接遇は技術を超えて精神を教えてくれる。
保育園業界での必要性を実感します。
小松:
保育園業界での接遇の必要性をどうお考えでしょうか?
理事長永井快俊先生:
接遇力はひとつの技術として捉えて、保育園でももっと取り入れる必要があると思います。もちろん、保育の技術や経験も必要ですが、接遇の精神が根付いている先生は、保護者の方の応対やクラス運営も全く違ってきます。特に保育園業界は、経験の浅い若い先生が常に多い業界ですから、まずは基本の接遇の習慣を繰り返すところから始まります。
小松先生の接遇研修は、毎年受講した職員全てが刺激を受け、さらに先生の人間性の豊かさともあいまって、とても良い影響をいただいています。良い保育園になるためには、接遇技術がなければ、保護者様やステークホルダーに対して良い対応はできません。そして、小松先生の接遇研修はその接遇技術だけでない「精神」を教えてくださっています。これからの保育園業界、未来にこそ接遇研修は導入していくことの必要性、重要性を強く感じます。また来年もどうぞ引き続き何卒よろしくお願いいたします。
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