進む看護師の働き方の多様化!これからの看護師の新しい働き方とは?
こんにちは!キャリアラボ事務局です。
5/12は「国際看護師の日」というのをご存知でしたか?
この日が看護師の日だったことは知らなくても、「ナイチンゲール」という名前は聞いたことはありますよね。5/12はナイチンゲール(=フローレンス・ナイチンゲール)さんの誕生日で、1995年に国際看護師協会によって、「看護師の社会への貢献を称える目的」で設置されました。(ぜひ身近にいる看護師さんにも日頃の感謝や頑張りを称えてあげてください!)
国際看護師の日にちなみ、「頑張る女性を応援する」キャリアラボは、日頃頑張っていらっしゃる看護師さんと今見直しが進む「働き方」についてまとめてみました。
目次
今看護師の働き方の見直しが急激に進む3つの背景
「看護師の働き方」の見直しが今急激に進んでいるのをご存知ですか?
その理由は、以下の3つの背景があります。
1)超少子高齢化社会が進むに伴い、医療施設・介護施設など、看護師が必要とされる場所が広がっている
2)一方で、少子化のため今後看護職として就業する若年者の大幅な増加が見込めない
3)看護師の仕事の特性上、看護師として継続が難しく離職も進む
以上にある通り、看護師が必要な場所は増えているけれど、看護師のなり手となりうる子供は減少傾向。そして、看護師の9割は女性と言われています。女性には、出産・育児にも貢献して欲しい一方で、出産・育児などのライフイベントが伴うと、看護師の働き方は継続が難しいという現状があるのです。
この危機的状況を改善するべく、2019年より国が推進している「働き方改革」とともに、「看護師の働き方改革」も今急激に進んでいるのです。
働き方改革推進中!看護師における働き方改革とは?
まずは、厚生労働省が推進している、「働き方改革」とは何かをここで見てみましょう。
『働く人びとが個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を、自分で「選択」できるようにするための改革』と定義されています。そして、この多様な働き方を選択できる社会を実現することで、『働く人一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることを目指します』とあります。(>> 厚生労働省ウェブサイト)
そして、2021年3月に日本看護協会で公表された「看護職の働き方改革」では、
『働き続けられる仕組みを創る。その仕組みは実現可能で、持続可能な仕組みであること、看護職が生涯にわたって、安心して働き続けられる環境づくりを構築し推進する』を目標とするとしています。(>> 日本看護協会)
改めてこの「働き方改革」をみると、これまで言わずと知れた「終身雇用制」や「会社のために働く」、「モーレツ社員(※)」などの過去の価値観・働き方を一新し、男女性別にかかわらず、一人ひとりがその時々のライフイベントに合わせた、「自分らしい働き方」ができるような社会を作ろうと動き出していることが分かります。
まさに、多様化が進む現代の社会にとっては必須の動きではないかと思います。
(※モーレツ社員とは、私生活を省みず、会社や仕事に人生を捧げる勢いで仕事をする会社員、高度成長期~バブル時代で見られた働き方)
看護師が「持続可能な働き方」とは?:5つの必須要素
人の命や健康と日々向き合う仕事の看護師の方々は、仕事を続けるうえで様々な悩みを抱えています。在職中の看護師さんを対象にした調査(>>看護職員の労働実態調査結果報告)によると、約6割が「今の仕事に強い不満、悩み、ストレス」があると感じていて、その理由の上位が「仕事の量」、「仕事の質」、「仕事の人間関係」となっています。
このような実態の中、「看護師の働き改革」の実現に向け、日本看護協会が看護師が、「看護師が持続可能になる』職場づくりの要素を以下の5つと定義しました。(持続可能な働き方の提案に向けて 3 調査結果)
1. 夜勤負担の軽減
2. 時間外労働の軽減
3. 暴力・ハラスメント
4. 仕事のコントロール感
5. 評価と賃金
この5つの要素について改善する動きが、全国の病院・医療施設で今まさに進み始めています。
正社員だけではない!看護師の働き方5つ
看護師の働き方改革、環境の整備が進む中、現職の看護師さんは継続が難しい環境と向き合って働いているのが現実です。
過去は、正社員やパート・アルバイトが一般的だった看護師ですが、今は働き方が多様化し、個々の看護師がそれぞれのライフステージやニーズに合わせた、「自分らしい」働き方を選択しています。
では、いったいどのような働き方があるのでしょうか。
1. 正社員
2. パート/アルバイト
3. 契約社員
4. 派遣社員
5. フリーランス
6. 副業 / 起業
上記の働き方について、それぞれの特徴を以下の表にまとめました。
一般的に正規雇用看護師と呼ばれるのは、正社員ですが、その比率は減少傾向にあるといわれています。
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正社員 |
パート・アルバイト |
契約社員(期間社員) |
派遣社員 |
フリーランス |
雇用区分 |
直接雇用 |
直接雇用 |
直接雇用 契約書に準ずる |
間接雇用 |
個人 |
副業の不可 |
国営の病院:不可 民営の病院:就業規則による |
可 |
可 |
可 |
可
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メリット |
・安定した収入 ・安定して働ける ・社会保険、福利厚生、その他手当てが充実してる ・長く働くほど収入もUP ・職場でキャリアアップできる
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・人間関係の問題なし ・働く日数、時間帯など自由に選べる ・プライベートの充実、副業やWワークも可能 ・雇用期間の縛りがない ・一定の条件を満たせば社会保険あり |
・人間関係の問題なし ・サービス残業なし ・期間が決まっているので、1つの場所に留まる必要なし ・ボーナスがあるかも(契約によって) ・社会保険・福利厚生あり
|
・人間関係の問題なし ・サービス残業無し ・プライベートの時間が取れる ・契約や会社との問題は全て派遣会社が仲介 ・社会保険・福利厚生もあり(派遣会社より) |
・人間関係の問題なし ・サービス残業なし ・自分で仕事が選べる ・自由度が高く、働き方など自由にデザインできる ・副業や多方面での活躍も可能 |
デメリット |
・残業・夜勤・交代勤務があり生活が不規則になりやすい ・時間の拘束 ・人間関係の問題 ・責任も大きい |
・社会保険が完備されていない場合あり ・臨時雇用が前提とされ単純作業しか任されない |
・契約が更新される保証はなく不安定 ・同じ場所で長期間働けない ・正社員と比べ給与は低い |
・契約が更新される保証がなく不安定 ・同じ場所で長期間働けない ・ボーナスなし ・就業場所に制限あり(介護施設が多い) |
・収入が不安定 ・個人で仕事を取ってくる必要がある ・交渉力、自己アピール力が求められる ・自身が事業者となるため全て自分でする |
看護師の働き方、安定度抜群の正社員
正社員のメリットは何といっても、安定性。毎月安定した収入があり、ボーナスもあり。社会保険、福利厚生、その他手当てが充実している。また昇給もあるので、長く働けば給与もアップする。長く働くことで職場でのキャリアアップも可能です。
一方で、正社員の大きな負担は、責任が大きく、残業・夜勤・交代勤務の対応、そして職場の人間関係の問題など、身体的負担も大きい。
結婚や出産・子育て、介護などのライフタイムイベントが来た際に、継続が難しくなる現状です。
プライベートを優先させる働き方、パート・アルバイト
パートやアルバイトは、短時間だけや限られた日数だけ働きたい人、また扶養内で働きたいという方には適した働き方といえます。
看護師としてのキャリアアップは難しい反面、育児や介護、その他事情などで、自分のプライベートの時間を優先したい人や、Wワークや副業をしたい人などにも適した働き方です。
修学旅行のなどに同行するツアーナースや検診での仕事など、バラエティに富んだ働き方が可能なのです。
契約の範囲内で働ける看護師、契約社員
契約社員は、病院やクリニックなど、働く施設の雇用主と直接契約を結ぶ雇用形態です。
正社員と違うところは、契約書が存在すること、そして契約で雇用期間が限定されていることです。
契約内容に基づいて仕事をするので、サービス残業や夜勤・交代勤務を押し付けられることなどはなく、プライベートの時間の確保も可能です。心身的負担も社員に比べて少ないでしょう。
一方で、社員と比べて給与は低く、契約の更新の有無は保証がなく不安定。また期間も定められているため長期で同じ場所に働きたい場合、キャリアを積みたい場合は不向きな働き方です。
看護師の悩みを解消する働き方!?派遣の看護師
「えっ、看護師の派遣!?」と思われた方もいるかもしれませんね。
看護師の派遣が認められていない時代もあったので、そう思われる方がいてもおかしくないかもしれません。2006年より看護師の派遣という働き方も法的に認められ、看護師の派遣も、今は珍しくない働き方の一つとなりました。
派遣の看護師は、派遣会社(派遣元)を通して、医療施設などの勤務先(派遣先)で仕事をする働き方。契約社員と同様に、契約書が存在し、雇用期間も決められています。なのでプライベートの時間も確保でき、予期しない残業・夜勤をすることはありません。
契約社員と大きく違うことは、派遣社員は派遣会社に雇われていること。お給料や社会保険・福利厚生などは派遣会社から提供されます。また派遣の看護師のメリットは、契約の交渉や勤務に関する相談など面倒なやり取りは派遣会社が対応してくれます。なので直接言いにくいことや人間関係の煩わしさがありません。また仕事以外の勉強会や委員会など職場内での活動に参加する必要もなく業務のみに集中ができるのも派遣の魅力です。
働ける施設に一部制限があることと、安定面や職場でのキャリアアップ面は正社員と比べ見劣りはしますが、派遣の看護師という働き方は、多くの看護師の悩みである人間関係や、仕事量の問題を解消してくれる働き方と言えます。
このような特徴もあり、派遣の看護師という働き方は広まってきております。派遣という働き方を通して、地方で期間的に仕事をしたり、旅をしながら仕事をする、など楽しみながら働いている方もいるようです。看護師というスキルを活かしながら、自分らしく働ける選択ができる働き方は、今後もっと増えてくるような気がします。
今後増える!?フリーランス看護師
看護師のフリーランスと聞いて、あまりピンとこないかもしれませんね。Youtuberやフリーになられるアナウンサー・タレント、フリーデザイナーや、IT関連の特殊スキルを持つエンジニアなどがフリーランスとして働く人としてイメージされる方が多いのではないでしょうか。
「フリーランス」とは企業や組織に雇われるのではなく、働く個人が事業主として働くことです。看護師も、特殊なスキルを持つ職業です。看護師の働き方も多様化する現代、看護師という資格を生かしてフリーランスとして活躍される方も多くなっています。
フリーランス看護師の最大のメリットは、自由度です。仕事も自分で選ぶことができ、働く時間・休みを取る期間など、全て自分で好きなように働き方をデザインすることが可能です。常勤で仕事をすると職場の都合に合わせて働くことや、人間関係に悩むこともありますが、そういったこともありません。
一方で、フリーランスの働き方は収入の安定性はありません。収入が多い時期もあれば、少なくなる時期もあります。また、自由度が高い分、しっかり自己管理や優先度の選択などができないと、結果仕事に追われてしまったり、やりたくない仕事もやっていた、ということも出てきてしまいます。
ですので、フリーランスをするには、以下のような資質が求められます。
・自分の強み・魅力を知り、自己アピールできる
・自己管理をしっかりできる
・勉強やスキルアップを自主的に行える
・状況や環境の変化にもフレキシブルに対応できる
フリーランス看護師としての活躍の場も様々です。
・病院の常勤勤務の休みの時にヘルプとして期間的に働く
・訪問看護師として患者さんを尋ねる仕事
・学校や職場で実施される検診スタッフ
・イベントナースや旅行に同行するツアーナース
・看護関係の研修や学会で講師
・看護の経験・スキルを活かして、病院・クリニックの研修
などなど、多岐にわたります。
キャリアラボの受講生にも、看護師の経験を活かし、メディカルマナースタイリスト®として活躍の場を広げている方もいます。働き方の多様性が進む中、フリーで看護師が活躍される機会・需要も今後増えてくるのではと思います。
看護師の働き方、副業したい看護師たち!?
責任も大きく、心身的負担も大きい看護師さんですが、以外にも副業したい看護師は多いようです。
しかし、正社員の看護師の副業は、働く病院・施設によって異なるので注意が必要です。
・国が運営する病院:副業NG(公務員のため)
・民間が運営する病院:各病院の就業規則による
就業規則には法的な拘束力はないものの、違反すると懲戒処分を受けることにもなりかねないので副業をする前には確認が必要です。
では、看護師さんが副業をしたい理由はどのようなものでしょうか。
・収入アップ、お小遣い稼ぎのため
・看護師以外の仕事をして気分転換
・違った仕事も経験したい
・年齢を重ねこのまま看護師でやっていくのか?セカンドキャリアや転職を見据えて
など、様々な理由があるようです。
副業する上でのメリットは、副収入が得られることがありますが、複数の職場・職種を経験することで視野が広がることもメリットの1つです。1つの職場・職種を経験するだけでは見えない世界が見えてきます。「私にはこんなスキルがあったんだ!」「私ってこういうこと好きかも!」「もしかしたらこういうことで社会に貢献できるのかも!?」など、新しい気づきを与えてくれるかもしれません。このような経験から、起業などセカンドキャリアへとして新たなキャリアに挑戦される方もいます。
終身雇用制ももはやなくなりつつある現代、人々が複数の企業で働き、様々な職種を経験する時代です。看護師だって、キャリアを重ねる中でそのような考え方・働き方が出てきても全く不思議ではないですよね。
看護師の働き方、「自分らしく」働くために
これまでご紹介した通り、看護師にとっても今は多様な働き方ができる時代です。日本での経験を経て、海外で看護師として活躍される人もいらっしゃいます。今や百人百様な働き方ができる時代になってきているともいえます。だからこそ、「自分を知る」ことが大切な時代になってきたのではないかと思います。
「自分らしい」働き方を選ぶための3つのポイント
- 自分の大切なことや興味は何かを明確に
働き方を選ぶうえで、何が優先か大切にしたいことは何かを明確にすることは大切です。
どの働き方も、メリット・デメリットがあります。自分の叶えたいこと(収入の安定なのか、看護師としてのキャリアアップなのか、自由な働き方なのか、など)を正しく知らないと、こんなはずじゃなかった、と残念な結果になってしまいます。
- 自分を知る、あなたの強み・魅力はなんですか?
「自分らしい」働き方を選ぶ上で、自分の強みや魅力を知ることは重要だと思います。どういう経験を積んできたか、どういうことが得意で、どういうことが好きか、など、改めて知ることで、きっと自分らしい働き方が見えてくると思います。
自分の強みや魅力は案外他人のほうがよく見えていたりもするので、身近な友人や同僚に聞いてみるのもよい方法だと思います。
- 今できることを
働き方でもし悩んでいるのであれば、様々な情報に触れていただきたいと思います。これまで紹介した通り、看護師の働き方は、多様化しています。どんな働き方があるかを知ることや、また興味を持っている分野について知識を広げたり、交流を広めることも良いと思います。また身近な人に話を聞いてもらうだけでも良いかもしれません。まずは今できる一歩を踏み出してみましょう。
まとめ
看護師は私たちが健康に生活していくうえで、なくてはならない存在。その約9割が女性のため、結婚や、出産・育児、介護など様々なライフイベントに直面します。
そんな看護師がそれぞれのライフステージに合わせてできる働き方、自分らしい働き方ができる体制もどんどん進んできています。社会の発展とともに、私たちの考え方や働き方に対する思いも多様化する中、女性が活躍する看護師の働き方も多様になってきていることは大変良い変化です。
女性が自分らしく働ける、そんな社会が今後ももっともっと広がると良いと願っています。
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